思い出が詰まった展示室の壁 [仕事(焼物・美術工芸)]
雪が消えてきたら、隠れていた壁もはっきり浮き出て見えるようになった。
普段気にしないのに、昨日はそばを歩いていたら、ふと写真を撮りたくなった。
この展示室を作って、21年の歳月がたったのだと・・・
子育てしながら、これを作ったんだから、若かったんだろうなぁ・・・って・・・
子供が生まれてまもなく、壁を2人と職人1人で1週間かけて、作りあげた。
今までの失敗作品が勿体なくて、いわば廃品利用のようなものだ。
でも、壁を見る度、自分の歴史を感じる。
焼物をやり始めて12年の失敗の遍歴が・・・
幼稚園の子にこんなものも作らせたなぁ・・・
季節の行事である節分の鬼、サンタクロースの皿、お父さんの顔の付いた灰皿。
その他、いろいろ、幼稚園児でも作れるようにいろいろ工夫して考えた数々。
その見本品を張り付けてある。
時々、私が教えた子たちが、大人になり、お客様として訪ねて来て、壁を見入っている。
「私もこれ作ったぁ」とはしゃぎながら、話している姿。
なんか嬉しい
私の思い出でもあるが、幼稚園や保育園で体験した子たちの思い出でもあったのだ。
そうでないものもあるのだが、ほとんどは失敗作品なのだから、
それを見る度、胸がキュンとなる作品も多い。
このイカは、電気窯で素焼きをしていて、焼いているのをすっかり忘れて、
夜700度でスイッチを切るはずが、朝に気付いて1200度になり、使えなくなった。
おかげで、至る所にくっついたイカが張り付けてあり、「気をつけろ」という私の教訓。
「見せしめのイカ」なのだ
その他、見せしめはいろいろあるが、その時は、自分の失敗を軽く受け流せなくて、
かなり悩んだが、それも20年経つ今はと笑って言える。
時というのは、不思議な力を持つ大物のように感じる。
この壁の12年間では収め切れない、その後の20年の失敗作品群を
どうしようか、考えあぐねている。
特に失敗率の高い、桜シリーズやりんご釉の失敗作品は溢れかえっているのだ。
今年あたり、捨てに行くかかどうかと悩んでいる。
片づけていかないとどんどん物が増える。
思い出の作品を眺めながら、過るいろいろな私の思い。。。
年をとったのかも知れない。。。